戴冠式の輝きに秘めた愛の暗号、「DEAREST」コロネーション・クラウン
コスチュームジュエリーの歴史に燦然と輝く、Trifari(トリファリ)を象徴する名作の一つ。
1950年代初頭、英国女王エリザベス2世の戴冠式を祝うムードの中で発表されたとされるこの王冠ブローチには、実はもう一つのロマンティックな秘密が隠されています。
それは、頂点に配された7石のラインストーンが綴る「DEAREST(最愛の人)」という愛のメッセージ。
宝石の頭文字を並べて言葉を綴る、19世紀から続く「アクロスティック(折句)」の伝統を、巨匠アルフレッド・フィリップがこの王冠に忍ばせたのです。
国家の慶事を祝う王者の風格と、大切な人へ贈る密かな愛の告白。
その二つの物語を一つのブローチに封じ込めた、まさに「身に纏う芸術」と呼ぶにふさわしいレアピースです。
D-E-A-R-E-S-T
D – Diamond(クリア)
E – Emerald(グリーン)
A – Amethyst(パープル)
R – Ruby(レッド)
E – Emerald(グリーン)
S – Sapphire(ブルー)
T – Topaz(イエロー/アンバー)
コレクターが探し求める、フィリップ氏の真骨頂
トリファリ独自の金合金「Trifanium(トリファニウム)」による精緻な土台、そして時を経ても瑞々しい輝きを放つマルチカラーの石たち。
裏面には古い時代を象徴する「TRIFARI PAT.PEND.」の刻印が刻まれています。
一部では1940年代とされることもあるデザインですが、刻印やスタイルから、当店では1950年代初頭頃の制作とご紹介しています。
市場でも「コロネーション・クラウン」として高い人気を誇るシリーズですが、
「DEAREST」のメッセージを秘めた個体は、コレクターの間でも特別な存在として知られています。
単なる装飾品を超えた、知的な遊び心と深い愛情を宿したブローチ。
それらを襟元に忍ばせる贅沢を、ぜひお手元で感じてください。

(画像は拡大してご覧いただけます。)
| ブランド | Trifari(トリファリ) |
| サイズ | 横 4.5cm × 縦 3cm |
| 材質 | ゴールドトーン・メタル(Trifanium)、ラインストーン |
| 刻印 | TRIFARI PAT.PEND. |
| コンディション | Very Good
経年による微細なスレやメタルの変色など、ヴィンテージならではの風合いが見られます。
メインのラインストーンはオリジナルと思われ、美しく揃ったコンディションです。バゲットストーンについても肉眼では大きな違和感は見られませんが、詳細は不明のため年代相応の状態としてご理解ください。
全体として年代を考慮すると非常に良好なコンディションです。 |
※ヴィンテージ品につき、極小のスレやわずかな汚れはごく自然な経年変化として見受けられます。
新品とは異なりますことをご理解ください。
※ジュエリーのみのお届けです。アンティーク等の撮影小道具は含まれません。
Antique Voyage Magazine
王冠に隠された、知的な愛のメッセージ
「DEAREST」アクロスティックの魔法
19世紀のヴィクトリアン時代、愛する人へ密かに想いを伝えるために使われた「アクロスティック(折句)」。トリファリはこの古き良き伝統を、1950年代のモダンな感性で見事に蘇らせました。
この王冠の頂点に並ぶ石たちは、ただカラフルなだけでなく、その一つ一つが「D・E・A・R・E・S・T」というスペルを担っています。国家の慶事である戴冠式のフォルムの中に、知る人ぞ知る愛の物語を忍ばせる――それこそが、巨匠アルフレッド・フィリップが現代に遺した、最高に粋な遊び心と言えるでしょう。
名門のプライドを掲げる「王冠」の誕生
1937年、トリファリはブランドの品質と格調を証明するために「クラウン(王冠)マーク」を刻印に取り入れました。
それと呼応するように、アルフレッド・フィリップは様々な意匠の王冠ブローチを世に送り出します。
単なるモチーフを超えて、それはブランドのアイデンティティそのもの。
立体的に積み上げられたラインストーンの層や、一寸の狂いもない石留め。そこには、ハリウッドセレブや大統領夫人を虜にしたトリファリの誇りが凝縮されています。
フィリップ氏が追求した「色の魔法」
数多あるクラウンシリーズの中でも、マルチカラーのタイプはフィリップ氏の卓越した色彩感覚が最も鮮やかに現れたピースです。
ただカラフルなだけでなく、光を透過した際の色同士の調和までも計算された配置。
1950年代という活気あふれる時代の高揚感を、貴族的な優雅さの中に閉じ込めたような、絶妙なバランスが、今なお私たちを惹きつけてやまない理由なのです。
- Message from Antique Voyage -
わたしの想い
アンティーク・ボヤージュでも格別の存在感を放つ、トリファリのマルチカラー・コロネーション・クラウン。久しぶりにご紹介できる機会に恵まれました。
このクラウンブローチにはクリアストーンのみのタイプも存在しますが、この作品は「DEAREST」のメッセージを秘めた特別なマルチカラー仕様です。
初めて見た時は、その堂々とした風格と、宝石箱をひっくり返したような美しい色彩に心奪われたことを今でも覚えています。
70年以上の時を経てもなお、これほど瑞々しい輝きを放つのは、やはりトリファリ、そしてアルフレッド・フィリップ氏が注いだ情熱の結晶だからではないでしょうか。
また、トリファリ独自の「Trifanium(トリファニウム)」のゴールドメッキに宿る美しい年季は、むしろ多くの大切な場面を彩ってきた「勲章」のようにも感じられます。
手に取ると、その重厚な作りと貫禄にしばし酔いしれます。
歴史の断片を纏うような、心地よい緊張感。
きっと、たくさんの特別な瞬間に寄り添ってきたのだろうと思うと、なんだか嬉しくなります。
この特別な王冠を、あなたのコレクションにお迎えいただけたら幸せです。
Antique Voyage フィッシャー
The Legend of Costume Jewelry
ハリウッドが愛した、永遠のシグネチャー
Trifari(トリファリ)
【イタリアの職人魂とニューヨークの洗練】
1910年、イタリアの熟練金細工師グスタボ・トリファリ(Gustavo Trifari)がニューヨークで設立。当初はヘア・オーナメントを製造していましたが、1925年にレオ・クルスマン(Leo Krussman)とカール・フィシェル(Carl Fishel)と提携し「KTF」として発展。後に再び「TRIFARI」ブランドへと戻り、高品質なコスチュームジュエリーの代名詞となりました。
【アルフレッド・フィリップが築いた黄金時代】
トリファリの黄金時代を支えたのは、カルティエ(Cartier)やヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)で名を馳せた伝説のデザイナー、アルフレッド・フィリップ(Alfred Philippe)です。
1930年の入社後、彼が持ち込んだインビジブル・セッティング(Invisible setting)に着想を得たハイジュエリーの表現は、安価な模倣品とは一線を画す、芸術的な風格をトリファリに与えました。
そして、1937年には品質の証である「クラウン(王冠)マーク」が誕生しました。
その品質とエレガンスは、マミー・アイゼンハワー(Mamie Eisenhower)大統領夫人をはじめ、ハリウッド映画界やブロードウェイのスターたちを魅了し続けてきました。
【革新的な素材と時代を映すデザイン】
「手の届くラグジュアリー」を掲げ、ロジウムメッキや独自の金合金「トリファリウム(Trifanium)」などの新素材を次々と導入。
1930年代のアールデコからミッドセンチュリーのエレガンスまで、トレンドを巧みに乗り切った職人技は、今なお高いコレクタブル価値を誇ります。
【知性と美学を継承するピース】
1970年代のホールマーク(Hallmark)社、1990年代のモネ(Monet)グループへの買収を経て、実質的にその輝かしい幕を閉じた往時のトリファリ。
アンティーク・ボヤージュでは、アルフレッド・フィリップの哲学が息づく1960年代頃の希少なヴィンテージ・ピースなどを、厳選してご紹介しています。
Antique Voyage Curated Collection